旧齋藤家別邸は2012年6月9日より一般公開されています。詳しくは公式サイト
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旧斎藤家・夏の別邸の建物の価値とは

長岡造形大学・平山育男教授(造形学部 建築・環境デザイン学科)より、旧斎藤家・夏の別邸の「建物の価値」についての所見を寄稿していただきました。





旧斎藤家・夏の別邸 所見

 夏の別邸の建築を任された棟梁はどんな点を心に掛けて建築に臨んだのだろうか。いやいや、その前にこの別邸の施主である斎藤喜十郎はどんな目論みでこの地を選んで夏の別邸を建てたのであろうか。

 先ず、夏と言えば海である。しかし海を直接目指すのではなく、砂丘により海とは隔てた地が選ばれた。直接の海風を嫌い、潮騒を穏やかに聞くこの地が選ばれたのであろう。しかし何よりこの敷地が優れている点は、敷地に南側から入って建物を北面させ、ここに丘が迫る点である。厳密には主屋は庭園に向かい北北西面する。つまり庭に面する大きな窓からは夏といえども部屋の中に陽が差し込むことは殆どないのである。よい庭の条件とは南向き、即ち建物の北側に作られたものとされる。このような庭は建物の裏側になることが多いが、実は庭そのものは南面する。つまり建物北側の庭は建物からある程度、離れて作れば常に日光を浴び、鑑賞者は逆光ではなく順光の下、庭を観賞することができるのである。しかも既に述べたようにこの敷地背面側は砂丘に掛かり、急峻な傾斜地となる。この斜面を作庭において使わない手は無い。作庭者は主屋から臨むこの斜面に、文字通り立体的な庭園の構成を展開させたのである。

 それでは主屋はどのような目論見で作られたのであろうか。そこで最初の問いに漸く戻ることとなる。この敷地を施主から任された棟梁は、庭の構成を眼中に入れ、どんな点に心を砕きながら思案を巡らしたのであろうか。「夏を旨」に住宅を作ることは方丈記の記された鎌倉時代以来の日本における伝統である。ずばりこの住宅でそれを形で示しているのは高い軒高であろう。空気調整機のない大正時代、涼を求める方法は建物の造りにかかっている。そこでこの住宅では極端に高い階高と、庭に面した北面一杯の開放的な開口部、併せて総2階建を採用することで、1階の涼を確保した。

 一方、室内を見るとこれだけの規模の建物にしては材の木割が細く、総2階建にしては柱の省略の多いことにも気付く。庭面から見ると、2階は中央の柱1本で支えていることに、驚愕の念を覚えるだろう。また、建物の奥向きでは特に行、草の要素が大きく、遊び心も存分に見ることができる。美意識としては当然、斎藤家の本宅となる燕喜館の延長線上にあると見て間違いない。椰子など銘木を随所に使うものの、これ見よがしではない、心憎い演出は流石と言えよう。

 造形の規範との観点、また優れた設計・施工技術の点において、この斎藤家夏の別邸は秀でた質を有すると見ることができる。

平成20(2008)年12月
                        長岡造形大学 平山育男

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by SAVE_SAITOUTEI | 2008-12-18 21:41 | 「旧齋藤家別邸」とは?

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